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BACK【宇宙戦艦ヤマト復活篇コンプリートボックス】 編集後記-あとがきにかえて-
2010.11.05
編集後記-あとがきにかえて-
本来、編集後記と言うのは出版物の中に納められるものです。しかし本の製作工程などよりも、復活篇そのものの道程を1ページでも多く掲載したかったので、あえて本誌からは外しました。そこでコンプリートボックスの配本が始まった機会に、番外編として編集後記を記させていただきます。
このお話を私が頂いたのは今年の初めに遡ります。昨年ヤマトは26年の眠りから見事に復活いたしました。その後、私のところにも「豪華本は出ないの?」と言う、願いにも似た意見が寄せられていました。そんな折「恒例の豪華本を作りたい・・・」とのオファーが舞い込んだのです。そこで次は豪華本を復活させるべく、ヤマトブックス内に “特別編集部”が設立され、7か月に及ぶ戦いが始まりました。時に西暦2010年2月の事です・・・
まずは資料検索です。ヤマトスタジオで使われていた膨大な資料をひとつづつ丹念に調べ、系統分けをしていきます。この作業に最初の2カ月を費やしました。その際に感じたのが旧作とは違い、多くの資料がPCにて作成されている事です。実はこれが大問題でした。色分解の方法がPC画面のRGBから、印刷のYMCKに変換した時点で、色調が大きく変化してしまうからです。何よりPC画面は発光していますが、印刷に使う紙は発光しません。そこで次にこの大問題に対処できる印刷所探しが始まりました。そして文化堂印刷のHBP‐700という素晴らしい技術と出逢う事となります。ご存じだとは思いますが、印刷物は“網点”で構成されています。通常のカラー印刷は150~200線と言う解像度で刷られているのですが、このHBP‐700は文字通り700線・・・つまり表記では約4倍、網点の構成数は通常の16倍と言う微細な点で構成されています。本誌をお手に取られた方はルーペで誌面を覗いてみてください。市販のルーペレベルでは網点を確認することが出来ないと言う事実に驚かれると思います。こうして印刷技術に関しては解決いたしました。
次の問題はページ構成です。過去の豪華本では全体の6~7割をストーリーダイジェストが占めておりました。当時、DVDはおろかホームビデオも一般には普及していなかった為、このページは重要な意味を持っていました。しかしDVDソフトで映画本編を気軽に楽しめる現代において、大部分を占めるストーリーダイジェストの意味は大きく変わってしまいました。そこでストーリーダイジェストを思い切って割愛する決断をする事となりました。しかし、それにより多くのページを設定資料や、美しく印象的な美術ボードを多数掲載することが可能となり 今回「決定稿資料」の全てを“完全収録”することに成功したのです。
その他、「シナリオ」「イメージボード」や、映画完成までの「タイムテーブル」「関連商品・販促物」など、過去の豪華本で人気の高かったページは、豪華本の“お作法”を守り、可能な限り収録しております。また、以前の豪華本では「絵コンテ」を抜粋し掲載しておりましたが、出来るだけ完全な状態で読んでいただきたいとの思いから別冊化、こちらも“完全収録”の道を選んでおります。
また今回、CD「エターナルエディション」のライナーノーツに心奪われた“ファンの一人”として、音響監督の吉田氏に楽曲解説を依頼いたしました。ヤマトにとって音楽と言う要素はとても重要です。豪華本初の企画となりましたが、吉田氏の玉稿により素晴らしいページが完成いたしました。更に『サウンドトラック未収録の音源を、特典CDとして付けたい』という私の我儘な企画を実現してくださった多くの関係者にも、この場をお借りして感謝を述べさせていただきます。吉田氏の粋な計らいで、録音レベルを既発の「サウンドトラック」と同じにしてあります。本誌には使用楽曲リストも掲載されていますので・・・ここまで言えばわかりますよね?(笑)
どうぞ、宇宙戦艦ヤマト復活篇の全てを存分にご堪能ください。
最後になりましたが、今回、本書の執筆・構成・資料検索・製版から各種相談事も含め、製作にご協力いただいた全てのスタッフに感謝いたします。ありがとうございました。
また私事ではありますが、本書の編集・執筆と言う重大な任務を常にそばで見守ってくれ、最後のページを入稿した2日後、まるで安心したかのように“永遠の旅に旅立っていった”私の親友にも感謝いたします。彼無くして本書は完成しなかったでしょう。
そして、本書を手にとってくださった人々と、全てのヤマトファンに本書を捧げます・・・
今一度、この言葉を皆様に贈らせていただき、感謝の言葉に代えさせていただきます。
「ヤマトは常にあなたの胸に、心に、魂の中にあるのです・・・」
西暦2010年10月吉日
水玉 六弦